スマホのカメラは凄く便利だけど……
携帯電話にカメラ機能が付いた当初は、オマケ程度の機能でしかなかった。とりあえず写真が撮れる。画質は微妙。言ってしまえばトイカメラ(安くて玩具みたいなカメラ。それはそれで愛好家もいる)。いや、トイカメラ未満の代物だったんだよね。
しかし携帯電話とともにカメラ機能は進化を続け、携帯電話自体の機能に差別化を図れなくなったのか、やたらとカメラ機能ばかりが尖っていった。そのおかげで誰もがスマホ(=カメラ)を持ち歩く時代となり、一眼やコンパクトデジタルカメラ(以下コンデジ)は趣味で扱うものに。
明るいところで撮る分にはスマホでもそこまで気にならない。けれども夜中。あるいは暗い店内。いつも綺麗に撮れるスマホで撮ったのに、何故だか写真は小さな点々(ノイズ)がたくさんでかなり汚い……という経験がある人もいると思う。
一言でいえば、それはスマホの限界なんだよね。
目とカメラは光でものを捉える
光がないと人は何も見ることができなくて、カメラは何も写すことができない。それだけ光というものは重要で、そこかしこで照明が煌びやかな光を放っているような店内だとしても、太陽の光には敵わない。そして暗いということは、光を集めないとうまく撮れないってこと。
目でいえば瞳孔や虹彩にあたるのがカメラのイメージセンサー(撮像素子)と呼ばれるもので、上に載せた画像はそのサイズを比較したもの。図として分かりやすくするために実際よりも大きくしてるけど、これだけサイズが違うんだってのは分かると思う。
それで普段みんなが持ち歩いているであろうスマホのセンサーサイズは、大抵は1/2.3型ってやつ。上の図で一番小さい黄色い四角形のサイズ。それから、カメラが凄い! 超高画質! みたいなカメラを売りにしているスマホで1.0型くらい。
1.0型は画質が売りのコンデジってところで、安いコンデジだともっと小さいこともある。逆に考えると、1.0型のセンサーを搭載したスマホはもはやコンデジそのものとも言えるってわけ。そしてマイクロフォーサーズ以降はいわゆる一眼で使われるセンサーのサイズ。
「それで、センサーの大きさが違うからって何が影響するの?」
そう思った人もいるだろうから、このセンサーサイズを踏まえてもうちょっと踏み込んだ話をしていくよ。カメラは光を集めて撮る。それは先に書いた通り。ここでソーラーパネルを想像してみよう。大きいパネルと小さいパネルなら、どっちの方が太陽光を集められると思う?
そう。大きいパネルの方が太陽光を集められるよね。イメージセンサーっていうのは、ソーラーパネルみたいなものだと思えばいい。大きければ大きいほど光を集められる。つまり光を使って写真を撮るカメラは、センサーが大きいほど効率よく光を扱えるってこと。
騙されやすい画素数マジック
カメラのイメージセンサーがなんなのか。とりあえず大きければ大きいほど光を効果的に使えて良い写真を撮りやすいって分かってたらそれでいいよ。もっと踏み込んだ話は頭が痛くなるし、多分変な説明が増えて、もっと詳しい人からぼろくそ言われるんだよね。
だからその辺をもっと知りたいって人は自分で調べて欲しい。
スマホのカメラを少しでも気にして買う人は、多分画素数というものを調べると思う。最近のスマホは5,000万画素(50メガピクセル)も普通で、韓国や中国の一部スマホなんかは1億画素(100メガピクセル)のものまであって、もはや驚くしかないっていうね。
画素が多いととにかく凄いみたいな売り文句が多いけど、実はそうじゃない。いや、凄いのは凄いんだけど、画素数ってのはセンサーの中に幾つの画素(ピクセル)があるかってことなのよね。それを単純に表したのが上にある市松模様みたいな図。
さっき説明した通りで、カメラにはいくつものセンサーサイズがある。一般的なスマホと一般的な一眼(フルサイズ。35mm判ともいう)を比較したら、30倍近くの差がある。つまりスマホは一眼に比べて、約30分の1以下の光しか取り込めない。
※寝る直前に書き上げたら30が5になってた。やばい。こっそり書き換えておく
光を取り込んで写真にするのはイメージセンサーの仕事で、そのイメージセンサーを細かくしていったピクセルの数が画素数。センサーを細かく分けて画素数を増やせば描写も細かくなるけど、それぞれが取り込める光の量も減っていくというデメリットがあるんだよね。
例えば上の図みたいに、1.0型のセンサーを搭載したスマホとフルサイズの一眼があったとする。その画素数がそれぞれ32画素だとしたら、この図だと細かい描写こそスマホの方が上だけど、光を取り込める面積が少ないスマホの方が撮れる写真は暗くなる。
そこで写真が暗いなら加工(または現像)で明るくすればいいって思っちゃいそうだけど、加工にも限度がある。最初からうまく光を取り込めてきれいに映った写真と、光が少なくて暗く撮れたものを加工した写真だと、どう足掻いても前者の写真には勝てない。
「じゃあ明るい場所で比較したらどうなの?」
と思いそうだけど、ぶっちゃけボケを活用した写真じゃなかったらスマホでもかなり綺麗に撮れる。センサーもレンズも小さいけど、最初から強い光があったら何も気にしなくていい。スマホやフルHD程度のモニターで見せられたら一眼と間違えるかもしれないくらいだから。
でも5,000万画素のスマホと2,000万画素のフルサイズ一眼で撮った写真があって、それを駅にあるくらいのポスターサイズに引き伸ばしてみたら、その時はスマホとフルサイズの違いに気付けるだろうと思う。まあ、そこまでして比較するものでもないんだろうけども。
画素数を増やせば細かく描画できるようになるけど、その代わりに光を取り込める面積が減る。画素数は諸刃の剣で、イメージセンサーが大きければ大きいほど画素数を増やす余地が出る。画素数だけに囚われると微妙なカメラを選ぶ可能性もあるから注意。
カメラを見るときは画素数以外も気にして欲しい
カメラの画素数はもちろん大事。でも、それ以上にイメージセンサーというものについてもよく考えて欲しい。イメージセンサーが小さいのに画素数がやたらと高いスマホは、暗い場所で良い写真が撮れないものと思っていた方がいい。
例えばキャバクラやバーなんかの暗い場所での撮影が多くなりそうな人は、できるだけイメージセンサーが大きくて画素数が高すぎないものを選んだ方がいい。画素数が少ないということは、それぞれの画素が大きくなって光を取り込みやすいってことだから。
このあたりの説明が特にないまま、画素数が高い=どんな時でも綺麗な写真が撮れると思っている人が微妙なスマホを買ってがっかりするのをみたくない。まあiPhoneでも買っておけばセンサーも大きめでソフトウェアが賢いからいい感じの写真を撮れるんだけども。
もっと色々語りたいこともあったけど、さすがに長くなりすぎたからこの辺で終わることにする。ていうかここまで読んだ人いるの? いないんじゃない?
え、いる?
えっち♡
なんだこの記事。
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