『Spirit City: Lofi Sessions』の良いところと悪いところを改めてレビュー

 少し前に買ったばかりの『Spirit City: Lofi Sessions』を遊んでレビューをした。全体的に良い雰囲気と内容の満足度が高いゲームだと思ったし、今もその印象のまま、とりあえず起動している。しかし百点満点とはいえず、今回はその辺について踏み込んでいく。

 基本的なゲームの内容については前回のレビューを読んでもらったらそれでいいはず。なんかチルい曲を垂れ流しにしながら人を眺めたり生き物を集めたりしようって感じ。さて、それでは改めて良いところから紹介していこう。

収録曲数は90曲以上!

 曲数は多く、最初から4個のアルバムが用意されている。それぞれ20曲以上収録されていて、曲数を合計すると記事の執筆時点で92曲。ヒット曲を大量に収録したアルバム並で、さらにオンライン音楽を選択するとYouTubeにアクセス可能。つまり聴ける曲は永遠に増えるともいえる。

キャラのカスタマイズができる!

 メニューから着替えのアイコンを選べばキャラの外見から服装、スピリットの外見まで変えられる。髪を伸ばしたり角を生やしたり、デザインは好きだけど模様がいまいち……というスピリットの外見はがっつりと変えたり(ただしパターンは少ない)と自分好みにできるのはいい。

壁紙から小物まで部屋の模様替えもできる!

  部屋の壁紙や床、机にベッドに暖炉など部屋の雰囲気もその日の気分によって変えられるのは素敵。決まったものを入れ替えるイメージだから、壁に貼ってある写真の位置はここ! 植物はここ! と細かく指定はできなくて部屋の状態をパターンとして保存できないのはネックかも。

スピリットに愛嬌がある

 謎の生命体ことスピリットは種類も豊富で、このレビューをしながらも見つけた数と枠数で合計すると15匹(?)いる。小動物みたいなもので、たまに動く姿を見たりクリックして撫でてみたり……。割と愛嬌があって癒される気がする。
 ちなみにスピリットを入れ替えると選んでいたスピリットの外見も初期設定にリセットされるよ。

 さて、それでは悪いところにも触れていこう。

Spirit City: Lofi Sessionsの悪いところ

 キャラのカスタマイズはできるんだけど、かといってスピリットほど愛嬌があるわけでもない。チルイと言われたらそれまでかもしれないけど、キャラの動きは最低限といった印象。こうしてパソコンに向かわせていたらひたすらキーボードを叩く。

 先に載せたスクリーンショットのようにベッドで寝転んでいたら、ひたすら指を動かして足をほんのり動かすくらい。例えばうとうとして眠りそうになったり、何か興味深いものを見つけて足をばたばた動かしたり、目をキラキラと輝かせたり……という変化は一切ない

 もしそういう要素もあるんだとしたら、発生する機会が少ないと思う。ほぼ毎日起動して、それでも気付かない私が単なる間抜けという可能性もあるけど。うん。否定はできない。

 それとゲーム開始直後がこれ。毎回誰もいない空間から始まる。前回のレビューで同居気分って書いたけど、アクティビティで彼女に何かしらの行動をさせないと、彼女もスピリットも一生出てこない。そういう要素がいらない人向けかもしれないけど、だとしたら選ばせて欲しい。

 毎回キャラを表示させようとアクティビティを選び、機械のように同じ動作を繰り返すキャラを見ながら「ああ、これは恋愛アドベンチャーじゃなければシムズでもないんだな」と痛感するよ。キャラが自由に部屋を歩き回ったり、だらだらしたり掃除をしたり。そういう生活感がない。

 チルい雰囲気でキャラを愛でるゲームだと思ったら大間違いで、これはチルい雰囲気の中で俳優に指示を出す監督になりきるゲームだよ。その俳優は何にだってなれる。どんな指示でも即座にこなす。監督の思うがままに動いてくれるけど、それだけ。そこに彼または彼女の意思はない。

 それとキャラをカスタマイズできるゲームだとは言ったけど、服装のバリエーションは少ない。というか同じデザインで色だけを変えてるものが多い。このボトムスを見たら分かる通りで、色が違うだけなのにそれぞれ買わないといけない。しかも試着は不可能。

 色違いで買わせるのは収集要素だからと納得もできるけど、だとしたらもっとデザイン自体を増やしてくれといいたい。それにトップスを一まとめにせず、トップスとアウターという形で重ね着をさせて欲しかった。それが出来るだけでバリエーションは増えるから。

 それからこれはあくまでも曲を聴きつつ作業を捗らせるツールだとしても少し難がある。なんというか全画面でのプレイが最適化されていて、まるで全画面以外では遊んでほしくないかのような作り。一見何の問題もないけど、実際に触っているとやや不便。

 ゲームのウィンドウサイズを変えると、解像度に合わせてアイコンの位置が若干調整される。でもそれだけで基本的なデザインは変わらないので、操作性は変わらないものの視認性は悪くなる。スピリット図鑑のような文字が多いものだと結構読みにくいのよね。

 極端な話をすれば、ウィンドウサイズをこんな形にするとUIも比率で縮小される。めちゃくちゃ解像度の高い歪曲モニターで遊ぼうとしたら一体どうなるのか。まあその場合はアイコン自体は押せるのか。なんにせよ悪い意味でのレスポンシブデザインになっている気はする。

 そして唯一の収集要素と言えるスピリット図鑑についてだけど、これはスピリットを見つけることで埋まっていく。しかしスピリットを見つける条件がそれぞれ設定されていて、その条件を満たす設定にしない限りは一生スピリットが増えない。ただこれがちょっと厄介。

 例えば夜中に暖炉を点けてレコードを聴いていると出てくるスピリットがいる(仮定。今のところそんなスピリットはいない)としたら、『明かり』から『夜』を選択して、『環境音』から『心地よい暖炉』と『レコードノイズ』を再生するように設定しないといけない。

 もちろん環境音を設定するということはBGMに加えて音が増えるわけで、ものによってはがちゃがちゃと重なり合って不協和音になる。そこは制作陣も理解しているらしく、環境音を選んだ状態で演出だけ有効にしたり、演出だけ無効にしたりといった設定もできる。

 ただスピリットを収集するために時間帯を変えて、アクティビティも……というのは急にチルい雰囲気からかけ離れているような印象を受ける。ゲーム要素だからといってしまえばそうだけども、それならゲーム時間や特定のアイテムを買うことで自然発生するくらいでよかった気もする。

 これまただらだらと色々書いてしまった。良いところも悪いところも思ったことをそのまま書いたから、「実際このゲームってどうなの?」って人にはなんとなく伝わるかなあと。アップデートでキャラの自由行動(できれば移動するモーションも追加して欲しい)が増えるといいなあ。

 まあ、価格を考えたらかなりお得なのは間違いない。みんなで買ってアプデを期待しようぜ!

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